保存会とは

烏帽子山千本桜について

1.「日本さくら名所百選」の地

烏帽子山千本桜は、明治11年(1877年)に地域有志が「湯ノ山公園(遊園地)」を造成し数百本の花木を植栽したのが始まりです。明治19年からは地区民あげて公園づくりが行われました。

2. 世界でも珍しい「エドヒガン群生地」

ここのエドヒガンは145本あり、エドヒガン系シダレザクラ80本を含めると225 本も群生しています。エドヒガンは、樹齢が1,000年を超える「長寿のさくら」が有名ですが、ここのエドヒガンは140年ぐらいで、まだ「少年期」です。これからのエースたちが200本以上群生しており、千年先まで楽しみな少年たちです。

3.「康寿橋」「大鳥居」などの明治の建築遺構

「烏帽子山八幡宮大鳥居(明治36年、一本石大鳥居日本一)」は、名石工吉田善之助(吉田橋、明治14年南陽市中川ほか)によるものです。また、御神坂途中(康寿桜の脇)には通称「メガネ橋」と呼ばれる石造りのアーチ橋があり、大鳥居を造った名石工吉田の弟子の川合兄弟によるものです。大鳥居の注連縄架け替え神事は、満開の桜の中、毎年4月18日に行われます。

4 「全国桜銘木二代目園」もお楽しみください

「烏帽子山千本桜保存会(平成2年設立)」では、全国の名木(二代目)を寄贈いただき、公園の北から西斜面に植栽しました。天然記念物に指定された材も多く、烏帽子山公園で「全国さくら名木見物」はいかがでしょうか。

ごあいさつ

烏帽子山花見るごとに思うかな桜植えたるそのかみの人

(鈴木源蔵詠号宜春)

　今年、烏帽子山千本桜保存会は、設立30年となるひとつの節目を迎えることが出来ました。
烏帽子山八幡宮が鎮座する烏帽子山公園は、平成2年に『日本さくら名所100選の地」の指定を受け、現在では日本最大級のエドヒガンの群生地として、置賜さくら回廊の起点として、広く市内外のお客様に親しんでいただいております。

　その歴史については、園内に建立された《偕楽園碑》によりますと、『明治11年、同志の者が相計り烏帽子山に数百本の花木を植え…。これを公園造りの手始めとした。』とあります。以来、悪条件に立ち向かう先人の大変な苦労があって、今の烏帽子山公園の基礎を成す形へと整備が続けられてきております。

　時は流れ平成2年の春、より一層の整備を重ね、さくら名所百選の地に相応しい公園にとの呼びかけで、山川章さんを初代会長とした、烏帽子山千本桜保存会は設立されました。それからの保存会は市や関係団体、そして保存会の会員等に指導や協力を受け、毎月の定期観察や協働施肥作業・鳥害予防に病虫害防除、そして印刷物の発行や会員の研修と親睦等々の活動を続けてまいりました。

　昨年リニューアルした烏帽子山公園散策マップの愛称木一覧等は、近年急増の中国や台湾、韓国や英語圏の観桜客に対応、其々の国の言語での表示も入れ、喜んでいただけました。見応えのある全国桜名木二代目園もより充実して、全国各地の著名な桜を愛でることが出来ます。
　そんな折、本保存会には大変嬉しいニュースがありました。柴田正夫前会長が、都市緑化功労者の表彰として、国土交通大臣より感謝状の贈呈という大きな栄誉を授かりました。この表彰は、柴田前会長が事務局長と会長を23年間務められ、烏帽子山公園の桜の管理保存及び桜の街づくりに大きく貢献、保存会の活動を長く牽引された実績が認められたものであります。
　当然ですがこの受賞は、設立30周年を迎えた本保存会にとっても花を添える大変名誉な出来事で、これからの活動にも大いに励みになる嬉しい報告となりました。

　昨年は、南陽高畠ICから山形上山IC間が開通し、東北中央自動車道と山形自動車道、そして東北自動車道と、福島・山形・宮城の3県を結ぶ高速周遊コースが完成し、車の流れは一変しました。また、前にも触れたように、海外からのお客様も急激に増え、地元の人をしても「ここ数十年これ程見事な桜は記憶にない!」と、感激させた千本桜の烏帽子山公園は、桜まつり期間中の動員数として、過去最高となる15万人超の記録を残しました。

　この春は、保存会設立30周年や大臣表彰を記念しての祝賀会を予定しておりましたが、コロナウィルスが日本中で猛威を振るい、赤湯温泉桜まつりも含め、ほとんどのイベントが延期や中止を余儀無くされてしまいました。只々残念ですが、今は一日も早い終息を願うばかりです。
私たち保存会は、先人が遺してくれたこの地域の貴重な宝を守り・育て、より充実した形で次の世代に引き継いでいかなければなりません。

　『桜は人で咲く』の言葉をかみしめ、大きな区切りになる50周年やその後も親しみ楽しんでいただける烏帽子山の千本桜であり続けるために桜守の一員としての活動を続けてまいります。これからも皆様の御理解と力強い御支援・御協力をよろしくお願いいたします。桜を愛する同志の皆様とのご縁に感謝を込めて・・・。　　